Treasure!
ナイフはスカーフェイスの足の甲を貫き、更に床のコンクリートにまで深々と突き刺さる。

スカーフェイスを地面に縫い付けた形だ。

「これで動きを封じたつもりか?」

スカーフェイスの複眼がギョロリと動いた。

そのまま貫かれた脚を強引に動かし、引き千切ろうとする。

脚一本くらい安いもの。

そう考えたのかもしれない。

だが…奴が足を引き千切るまでの時間。

それだけの時間があれば十分だった。

「……?」

スカーフェイスの見ている前で、俺は部屋の奥へと歩いていった。

部屋の奥…顔を覗かせている、核ミサイルの前へと。

そのミサイルの表面に、拳を添える。

『寸勁』の体勢だった。

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