Treasure!
ティアが野宿の準備を始めた場所から、僅かにしか離れていない場所。

まだティアが豆粒程度の大きさに見える距離で、それは起こった。

「…?」

何か、音がした。

風の音じゃない。

風に吹き飛ばされた小石が転がる音でもない。

まるで乾いた枯れ葉がざわめくような、そんな音。

ザワザワとも、ガラガラとも表現できるような、そんな音。

「何だ…この音…」

俺は立ち止まり、周囲を見渡す。

特に何もいない。

異変らしい異変も見当たらない。

だけど、旅慣れた者ならばすぐにわかる。

この『音』こそ、危険な生物の威嚇行為そのものだったのだ。

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