Treasure!
赤く細い舌をチロチロと出しながら、ガラガラヘビは俺をじっと見据える。

…動けない。

こんな間近で巨大爬虫類と遭遇するのは初めての経験だった。

名誉の為に言っておくと、別に臆病風に吹かれた訳じゃない。

ただ…戦況的に不利だったのだ。

動くと同時に、コイツは襲い掛かってくるだろう。

その素早さは、エイプの比ではない筈だ。

だから動けない。

ガラガラヘビの隙を突いて、一旦距離を置く以外に方法はない。

…相手もその事はわかっているようだった。

大きな隙を見せないように、ゆっくりと長い体で動く。

その体で俺を取り囲むように、ぐるりと一周。

逃げ場を奪い、ゆっくりと俺を仕留めるつもりらしい。

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