Treasure!
翌日早朝。

俺は甲板に出て、まだ太陽が水平線に顔を覗かせないうちから体術の修練をしていた。

拳法の修行は毎日の日課。

場所がどこであろうと続ける。

これをやらないと体が鈍って、何だか気持ち悪いような気分にさえなるのだ。

自分より格上の相手を仮想して、いつもの型稽古。

それが終わると、今度は秘伝書を広げ、基礎の鍛錬を試してみる。

…座禅を組み、心を波紋すら立たぬ水の如く穏やかな静寂に保ち、己の体の内を巡る『力』の流れを感じ取る稽古…をするつもりだったのに。

「おふぁよぅ…コウ…早いわね…」

寝ぼけ眼を擦りながら甲板を歩いてきたティアに邪魔されてしまった。

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