Treasure!
「何だよ、修練の途中だったのに」

「あ、邪魔しちゃった?ごめんごめん」

悪気もなさそうににこやかに謝るティアに苦笑して、俺は立ち上がる。

と。

「ほほぅ、これはこれは!」

一人のエイプが近づいてきた。

頭には布を巻き、ゆったりとした衣服を身に纏った中年男性…服装から察するに、商人らしい。

「お若いのに高価なものをお持ちですな。『発勁(はっけい)』の秘伝書とは」

「…発勁?」

俺とティアは顔を見合わせ、商人の顔を見た。

「私はこう見えて鑑定士でしてね。古代遺産を見る眼にはちょっとした自負があるんです」

商人は人のよさそうな顔で笑う。

「その書物は古代中国武術でも奥義に属する技、発勁を伝える秘伝書。さぞや高価だったでしょう?金貨3500万はした筈です」


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