cold pupil
「有り難う御座いました。」
男はあたしの顔を見ないで、歩き出した。
「あんたの事、言っても良いんだよ。」
「え?」
男は振り返った。
「"黒風"の幹部が"黒桜"の敷地内で暴れたって。」
男は顔を青ざめた。
「ま、あんたが言って良いなら良いけど。」
何で、こんな男引き留めてんだろ。
別に、ほっとけば良いのに。
「俺が言ったら、言わないでくれますか…?」
「うん。」
「……………家出です。」
はい?
家出?
"黒風"の幹部が家出…?
「家出?」
「はい、理由は流石に言えないんですけど。家出して、適当にバイク走らせてたら着いたのが此処で。」
運悪い奴。
「行くとこあんの?」
「いや、無いです…。」
あたしは次の瞬間信じられない事を言ってしまった
「うち、来る?」