cold pupil
「華奈さん。」
1階のフロアを通って、外に出ようとした時、輝に呼ばれた。
「何?」
「さっきは、すみません。」
「何の事?」
「女の事です。俺が此処に居ながら、気づけなかった。」
「あれは、あんたのせいじゃ無いでしょ?」
「でも……。」
「あたしが良いって言ってんだから良いじゃん。それに、今回悪いのは、尾行された夏騎と、入口で気づかなかった見張りの奴等。」
「はい、すみませでした。」
あたしは輝の肩を叩いて、外に出た。
責任感の強い奴……。
輝は元々、どっかから移動してきた奴だった。
"黒桜"のメンバーと違って、"あれ"はやらないし、無駄な喧嘩はしなくて、友達思いな良い奴だった。
だから、あたしはそんな輝を気に入って、幹部の次に偉い所のリーダー格にした。
輝は、そんなあたしを慕ってくれた。
輝は唯一、あたしが信用出来る奴。