cold pupil





幹部部屋に連行されてきた成は、部屋に入った瞬間、近寄ってきた大我によって、殴られた。



成は、殴られた反動でドアに背中をぶつけた。



「いってっ!」



「お前、自分が何やったか分かってんのかよ?」



成は座り込んで下を向いたまま、何も言わない。



「聞いてんのかよ?」



「……………。」



「喧嘩すんなとは、言わねえよ。けどな、なに仲間病院送りにしてんだよ?」



成は、さっきの喧嘩の時に、止めに入った"黒風"の人、2人を殴り病院送りにしていた。



「どんな理由があってもな、仲間傷つけてんじゃねぇ!!」



大我はそう言って、座り込んでいる成をまた殴った。



「大我!」



さすがにやばいと思った豪は大我に怒鳴った。



「……………ふっ。」



豪達が声をした方を見ると、成が静かに笑っていた。



「なんだ?」



「兄貴はさ、俺が今までどんな思いしてたか知ってる?」



「あ゛?」



「学校では、兄貴の弟だから喧嘩売られて、でも弱いから毎回『お前本当にあの"黒風"の総長の弟かよ』って、『兄貴居ないと何も出来ないのな』って、言われて。」




「……………。」



笑いながら話す成に、言葉が出ない豪と俊介、一喜、友。


無表情で見る大我。



「倉庫に行けば、俺を歓迎してくれてない人達が言う、嫌味。兄貴に分かるかよ?わかんねえよな。完璧な兄貴だもんな。」



「成、どうしたんだよ………。」



心配そうに言う俊介。



「でも、俺は兄貴のお陰で幹部に入ったようなもんだったし、我慢したよ。確かに、喧嘩は弱いし、兄貴とは全然違う。


けど、兄貴が居なきゃ何も出来ない訳じゃない。


俺だって、兄貴が居なくなって出来る事はある。


………あったはずなんだよ、事故に会うまでは。」


成はそう言って、黙り込んだ。



成は高1に入ってから、事故に合っていた。




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