cold pupil
「兄貴は知らないんだろうけどな、俺は事故の後遺症で脳が弱っちまったんだよ。
普通の人より行動が鈍い。
人を殴るにしても、頭で分かってても、体が付いていかなくて、殴る前に殴られる。
事故にあう前まではあんな、雑魚みたいな奴等に負ける事なんか無かった……っ!
でも、もう駄目なんだよ。
兄貴が居ないと何も出来なくなった。
それを、認めたく無いんだよ。
だから、それをあいつらに言われてムカついた。
それが、殴った理由。
"黒風"の人達の事なんか知らない。
周りに居た奴等殴っただけだから。」
成はそう言って静かに立った。
幹部部屋を出ようとドアノブに手をかけると、
「何で言わなかった。」
大我が成の背中を見ながら言った。
「………言える?喧嘩しか取り柄が無なかった俺が、喧嘩でしか自分を主張出来なかった俺が、喧嘩出来なくなりました、なんて。兄貴とは違うんだよ。何でも持ってる兄貴とは。」
「………当たり前だ。お前と俺は違う。一緒にするな。」
成にとってそれは、
悪魔のような言葉だった。
お前と俺じゃ違う。
"何も出来ないお前と、一緒にするな。"
そう言われてるようだった。
成は豪達に名前を呼ばれても立ち止まらなかった。