cold pupil
――――――――――――――……華奈side
成が家に帰れない理由が分かった気がした。
でも、
「お母さん、倒れちゃったんでしょ?」
「…………。」
「あんたは、お袋さんから直接何も聞いてない。こんな事言いたくないけど、あんた逃げてきたんじゃん。」
「…………分かってる。」
「だったら、」
「華奈さんに俺の気持ちが分かるかよ!!」
成はあたしを睨んだ。
「今まで、母親だと思ってた人が本当は違ったって気持ち!」
成の目からは涙が溢れている。
「…………分かんないよ。」
「えっ?」
「知るかよ、てめーの気持ちなんて。知りたくもねぇ。お袋さんから何も聞かずに、逃げてきたてめーの事なんて。」
「…………。」
「でも、あんたはまだ間に合う。」
「…………。」
「お袋さん、まだ生きてんだから。死んじゃったら何も出来ないよ?それで良いのかよ!」
「でも、俺…………。」
「あ――、もう!ぐだぐだ言うな!後悔したくないなら、会いに行け!」
何、こんな熱くなってんだ?あたし。
成には後悔して欲しくない。
成はあたしにとって"大切な奴"だから。
「…………華奈さんの言う通りっすね。」
「会いに行く気になった?」
「はい!」
よし!
成の顔には笑顔が広がっていた。