cold pupil




"いらっしゃいませ"



機械の声があたし達を迎えた。



「華奈さん、俺ちょっと電話してくるんで、先行っててください。」



「ん。」



成と入口で分かれて、あたしはカゴを持ってスーパーに入った。



作るのは


ドライカレーキャベツ玄米ご飯と


パイナップル入りヨーグルトサラダ


病院で目を覚ました時からこの2つだけは大の得意だった。



体が覚えてて、すぐ作れた。


さっさと材料を買って外に出た。



お、重い!


つか成どこよ?



あたしがキョロキョロしてると、




「華奈さーん!!」



居た。


ちょっと遠くの方で、満面の笑みを浮かべてる成を見て、あたしも自然と笑みがこぼれた。




この笑顔とも、もうすぐお別れなんだね。



やっぱり、そう思うと泣きたくなった。



「華奈さん、すみません!買い物付き合えなくて……。」



「本当だよ、まったく!」



「荷物持ちます!」



お、軽くなった。



「華奈さん。」



「何?」



「家まで、手繋ぎましょ!」



はぁ?



「何、いきなり。カップルじゃ無いんだから。」



「良いじゃ無いですか!」



そう言って、成はあたしの手を握った。



初めて握った成の手は大きくて、暖かかった。


「手、温かい。」



「そうですか―?華奈さんの手も温かいですよ!」



それからお互い無言だった。


気まずいとか、そんなの無かった。


ただ、心地よかった。


安心した。


マンションまでの道がもの凄く短く感じた。



「あれ?」



あいつを見つけるまでわ。




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