cold pupil





「俺、華奈さんが自分から言ってくれるの待ってました。華奈さんの背中を見た時から。」



「ごめん。」



「もう、謝らないで下さい。確かに、今日"葛城流衣"に会ったからが、きっかけかもしれません。それでも、華奈さんが話てくれて嬉しかったです。」



黙っててごめん。



「俺、華奈さんとは"黒風"の幹部としてじゃ無くて、"階条成"として華奈さんの弟分のつもりですから。」



弟分か。
悪くないかもね。

でも、

「成、あたし達今日と明日で終わりだよ。」



「え?どういう事ですか?」



「だって、そうでしょ?あたし達が何と言おうと、お互い敵対してる幹部なんだから。」



「そんな………。」



「あたし、成と離れたらやろうと思ってる事があるの。」



「何ですか?」



「記憶探し。」



「記憶探し……。」



「記憶探ししようと思ったのも成のおかげなんだよ?」



「俺?」



「うん。成が"黒風"の幹部だって知った時、ふと思ったんだ。
何で、あたしは"黒桜"の幹部なのに、こんなにチームの事を知らないんだろう、何で流衣達は、あたしが外部と接触するのを嫌がるんだろうって。」



「でも"最強の桜"は総長の右腕って……。」



「はたから見ればそうかもしれない。でも、実際は違う。チームの事を何も知らないで、チームの除け者。」



「そんな………。」



「それを思ったら、色んな事が見えてきた。」



「色んな事って?」



「何で、あたしは記憶が無いんだろう、とか。

何で、目が覚めた時流衣は"何も思い出さなくて良い"って言ったんだろうって。

どうして、流衣達はあたしに外部の情報が入ったり、外部との接触をしたりするのを嫌がるんだろうって。


何で、あたしは家族と居ないんだろうって。


成と会ってから、自分を冷静に見れるようになった。」



これも、全部成のおかげ。



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