cold pupil
「だから、車だけじゃ無くて輝も一緒に!」
「………言葉が足りねんだよ。」
悪かったよ。
「んで、何の為に使うんだよ?」
「それは………、明日、成の送迎に使いたいの。」
「え?」
成は予想通りの反応でこっちを見てきた。
「華奈さん、俺なら、」
「駄目。成が家出してた時の保護者として、成を家まで送り届ける義務がある。」
「俺はそんなつもりでっ。」
「あたしだって違うよ。けど、家出してた間はあたしと居たんだから。あたしは成が家出してる事を承知で一緒に住んだんだから。」
「華奈さん………。」
「で、俺はその送迎の運転手をやれば良いわけだ。」
「うん、お願いして良い?」
「良いよ。その変わり、何で家出したのか聞かせてもらおうか。」
「輝。悪いけど、あんたでも言えない。」
これはあたしの問題じゃない。
「成、言ってもらうぞ。お前は、俺らの"黒桜"の女にかくまって貰ってる奴なんだ。そんな男を、俺らは"黒桜"抜きで関わろうとしてる。それなりに聞かなきゃいけない事もある。そうだろ?」
「だから、あたしが!」
「華奈、てめぇは黙ってろ。」
輝がこの仕事を責任持ってやろうとしてるのが分かって、何も言えなかった。