cold pupil
「まさか、こんな夜中まで一緒に居てくれたんすか?」
こんな夜中って……。
いつも繁華街に居る時間だけど。
「だから?」
「なんか、すみません!」
男はそう言って頭を下げた。
「別に。で、何であんな所に居たの?」
「繁華街に居るのに理由が居るんですか?」
「……………"黒風"の幹部が何で、此処に居るか聞いてんだよ。」
そう、この男の首から見えてたのは、"黒風"という隣町の族のマークのネックレスで、
しかもそのネックレスは特定の奴等しか持てないって話だ。
特定の奴等は多分幹部だ。
「"黒風"を知ってるんですか?」
あたしは頷いた。
「やっぱ、隣町は駄目か。」
「は?」
「なんか、有り難う御座いました。」
男はそう言って立ち上がった。
こいつ、あたしの質問に答えない気かよ。
「なぁ。」
「はい。」
「あたしの質問に、」
「あ、傷の手当て有り難う御座いました。」
こいつ……。
答える気はさらさら無いらしい。
言えない、理由でもあんのか?
「ねぇ。」