cold pupil
「ねえ、華奈さん。」
あたしが重い腰を持ち上げて、テーブルを片していたら、成が話しかけてきた。
「なに?てか、寝たら?」
「ねえ、華奈さん。俺、本当は帰りたくない。」
急に、どうしたの。
あたしは成が寝ているソファの前に腰を下ろした。
「成?」
あたしが話しかけると、成は腕を目の上に乗せながら、
「俺、兄貴にもお袋にも会いたくない。また、拒絶されんのが怖い。」
いつも、酔っ払ってる時でさえも敬語を使う成が、珍しく使っていなかった。