カクレンボ
「お前!正気かよ!」
部内でも最も屈強な沢入が叫んだ。その顔は蒼白に染まり、目玉が飛び出る程双眼が見開かれている。奈々の勝手な行動に我慢していたのだろう、その目は充血していて、両腕を震わせている。浮き出た血管が生々しい。
「当たり前ですよ。さあ、カクレンボ、しましょう?」
奈々はいつものように微笑みを浮かべ緩慢な調子で答えた。しかし誰も賛同しない。当たり前だろう。
徐々に彼女の表情が歪む。俺は唾を飲み込んだ。どうする、どうしたらここをのがれれる?握った拳がじっとりと汗ばむ。