カクレンボ
ひとりかくれんぼ。中学の時に流行った遊びだ。降霊術の一種で、中々危険な遊びだった。
その被害は凄まじいものだった。死者こそは出ないが確かに霊の存在を感じた人が大半だった。
「なんだよ、しってんのかよ。じゃあ話ははえェな。今日皆でやるんだよ」
「は?みんなで?」
「応用版で大人数でできるんだってよ」
そんな話は聞いたことがない。得意げな藤村の横から中里が顔を出す。
「あれ、橋本も来るの?幽霊とか絶対信じてないでしょ?」
「いや、めんどくさ……」
「ダメー!二年は強制参加!」
マネージャーの中里は小ばかにした口ぶりでにやりと笑う。その表情にカチンともこない俺は大人だと思いつつ、あまりの面倒臭さに断ろうとしたが虚しく藤村の声に阻止される。
「いや、いかねーよ」
「奈々ちゃんの提案だぜ?」
「……だる」
藤村から告げられたのは一年マネージャーの名前だ。後輩ということがあって非常に断りづらい。俺は彼女に聞こえないよう悪態をつくが、中里には聞こえていたらしく鋭く睨まれる。