カクレンボ
恐怖
「中里、歩けるか?」
「大丈夫……。早く隠れよう」
俺達に背中を向けて不気味にカウントする奈々をチラリと横目に歩きだす。隠れる時間は十分にある。落ち着くことが重要だとは思いつつも恐怖から焦りが生まれる。
幾らか進むと絨毯のかさつきが増した。いくら古いと言ってもここまで酷くなるものだろうか。ここで俺はとんでもないことに気がついた。中里に教えるべきだろうか。やたらと不安を煽るべきではないだろう。しかし、妙な期待を持たせてもいざというとき混乱に陥ってしまう。俺は覚悟を決め唾を飲み込んだ。
「なあ、気づいてるか?」
中里は顔を上げ俺の顔をみる。返事は無かったが、気にせず話を進める。