カクレンボ

「着きました!」



奈々の言葉に皆が思い思いの声を上げながらバスから降りて行く。辺りは田舎の真ん中といった感じで、獣道と水田、森が広がっていた。
どうやら森の中に入って行くらしい。思ったより道は歩きやすく、止まることなく進む。



「やべー、俺びびっちゃう」
「馬鹿、お前が言うと気持ち悪いだけだっつーの」
「私もびびっちゃうね」
「いや、お前は怖がってないだろ」



確かにこの状況は余り怖くはない。部活で鍛えたせいで全員屈強な体つきをしているからだ。そのうえ中里はかなりの怖いもの知らずと来た。俺はふと奈々に目をやった。大人しそうな外見の彼女は意外にも非常に楽しそうであった。



暫くして木々がない広場のような場所に辿り着いた。



奈々を除いた全員が絶句した。
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