カクレンボ


「なんだよ、ここ……」



藤村は一人呟いた。その声は恐怖に震えていた。他の部員は目を見開いて言葉も出ず目の前に佇む不気味な洋館を見詰めていた。



かなりの豪邸だったのだろう。その外観の装飾はとても細かく、大きさも一軒家なんて言葉ではすまないくらいだ。



しかし、余りにも古かった。全体に黒みがかかり、窓は割れていて、至る所が剥き出しになっている。庭らしきところは雑草が生い茂っており、時折何かわからない声が聞こえる。



身体が冷えているのにもかかわらず、背中いっぱいに汗をかいていた。
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