三度目の指づめ
それは、突然にやって来て…全てを奪って消えた。
まるで『データ全削除』したかの様に…
跡形さえ残さず。

あたしの前から存在から根底に至るまで消え失せた。






「美沙子がね。昨日死んだの。飛び降りだって…」




久々に聞いたクラスメートの鈴ゎ何時ものかすれ声を精一杯絞り出す様に重たく呟いた。

余りにも…予想外過ぎる単語…

“自殺”


カラカラと音を立ててあたしの脳内を一周した後、床に受話器が転がった。
遠くで聞こえる鈴の不安定な声…

一瞬にして頭の中は真っ白、目の前ゎ真っ暗になった…

ブラリと糸に操られた人形みたいに脱力感に襲われる。やけに手先が重たく感じた。
無表情な仮面の面に表現方法を失ったパーツ達だけが乗っていた。

こんな時…どう反応すればィイのか。

静かに考えた。

ぃや、考えても出て来ないから、考えるふりだけした。

思考が追い付かない…


何時か美沙子ゎ…『飛んでみたい』なんて言ってたっけ。


“ほんとに飛んだんだ”


そんな、この状況に不釣り合いなことがポカリと空洞の頭に浮かんだ。
不意に鼻で笑う。
何がおかしいかさえわからない。
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