三度目の指づめ
そんなある日。
唯一覚ぇて居るのは…冷たぃ雨だった、ということだけだ。
傘を忘れ…買う金さえないあたしは、ただ降り注ぐ氷の様な雨を体全体で受け止めていた。
容赦なく体温と気力さえ奪う雨。
まるで現代社会の様に…手加減も情け容赦もない。
慈悲など存在しない。
あたしはひたすら閉店したシャッター下にしゃがみ込んでいた。
雨のカーテンを内側から凝視する。
冷気と共にマイナスイオンさぇ感じた。
濡れぴったりと体に密着する制服…
“きっと他人からは下着すら丸見えだ”
そんなことをぽかりと開いた頭で考えた。
しかし、それもまた面倒でスグに思考回路を遮断した。
これ以上状況を向上させる術なんて、腐った頭脳では浮かばない。
『ねえ。ちょっと君、一人かい??』
不意に声がする。