三度目の指づめ
『おい..!!!そこのクソじじい!!!』
突然鼓膜を震わす怒鳴り声。
地面さえ揺らした。
第三者の新たな声。
ドスの効いた太い大木の様な声。
まるで…雷でも落雷したかの様に…親父ゎあたしを蹴る足を一瞬止めた。
それ程…恐怖さえ感じてしまう程だった。
しばらくしてズカズカ大股でこちらに向かう長身な男。
地面に這うあたしには…天をも突く程の高さに映った。ひしひしと痛む腹を右手で押さえ引きずる様にシャッターの端へ無意識に避難していた。
その男ゎ余りにもかわいらしい傘を射していた。水玉がやけに色鮮やかに見えた。
肩まで延びた長髪を雨に遊ばせ、シャツを胸元まで開放し、今にも甘美な香水が漂う様な綺麗な鎖骨を覗かせていた。
足長を引き締める黒のスキニ。目の前のクソ親父と同じ革靴でもこんなに誂えた様に似合っていた。
横顔が前髪で微かに映る。睫毛が長かった。
backの雨のカーテンに反射したその男ゎ美しい過ぎる美貌で颯爽と現れた。