三度目の指づめ
電話のダイヤルボタンを穴が開くほど見つめていた。
そこに意味など存在しない。


しかし、人間ゎこんな時驚く程冷静何だ。
無造作に床に寝そべっている受話器を拾いあげ、鈴の繋らない話を途中から聞き取る。





「うん。わかった。来週の火曜日ね。うん…空けとく。」



驚く程ひび割れた己の声が鼓膜を震わした。
舌先さぇ乾いたままだ。

目の前のカレンダーに美沙子の好きだった赤色のマーカーでマークした。

あいずちも交さず耳から離した受話器にゎ手汗がくっきり残っていた。それを拭き取ることさえ忘れ…ニ、三歩後退る。
まるで何から逃げる様に…


早く忘れたかった。来週の火曜日まで。



その時飲んだ冷えきったcoffeeゎ鉄の味がした。

気がした。
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