三度目の指づめ
種無し西瓜
初夏…照り付ける日射しが生きる気力さえ容赦なく奪って行く。
口から漏れるのは深い溜め息枯れた唾液だけだ。

「暑い!!」


先ほどから、その言葉しか思い付かない。陽炎がコンクリートから揺らめき向こぅの景色さぇ靄が掛った様に移る。
丁度昼間を越え、熱さもピークを迎ぇる頃、あたしは准のパシリ役として、近所のコンビニに向かっていた。


『あっ、あんた煙草買ってきてくれない?!今から、新しい子の面接しなくちゃいけなぃのょ。ほら、煙草無かったらイライラしちゃって…八つ当たりちゃ可哀想ぢゃあなぃ??…余ったお釣りはお駄賃にするから、ね?』


キッチンから手を拭きながら慌ただしく出て来た准は、昼のメロドラマに夢中になるあたしの背中にそぅ早口で語る。
一瞬、バックのコマーシャルかと勘違いしてしまう程にテンポが良かった。
しかし…最期の“釣りはお駄賃”と言う単語に耳が即座にcatchした。


『良いよ。これ、見てからでぃい?』


あたしは二つ返事で答えた。


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