三度目の指づめ
「早く済まそ。」
自分に鞭打つ様にワザと声に出した。
行き交う人の波を逆流する。
交差点を避ける様に背を向けて口を開くコンビニ。
あたしはそんな目玉商品のなぃ錆びれたコンビニが好きだった。あたしが唯一の常連客かもしれない。
値札が手書きのレトロさが堪らなくあたしの好奇心を揺さぶった。
「…いらっしゃいませ。」
反応の遅い自動ドアをクグってしばらくしてからボソリと聞こえる、控え目な店員。
密かに…気に入っていた。
メガネを深めにかけ、センター分けの横髪を高速でしごく様に整える。
それが、癖だ。
少しふっくらした丸顔も、鑑賞するには丁度ぃい。
以外に長い睫毛なんだ。あたしは袋に必死に詰める姿をジッと見つめる。良く見れば綺麗な二重だ。
名も知らないその、オタクチックな店員を見るのがあたしの楽しみでもあった。