三度目の指づめ
客一人として見当たらない店内をグルリと一周する。
外の地獄の様な体感温度の差でこめかみがピリピリ響いた。タンクトップから感じる汗の乾いた感触はまるでおかんみたく、あたしを包んでしまう。

准に頼まれた煙草を抱ぇ…物色した。

しかし、どれもこれも同じに見えてしまい、魅力を全く感じない。
普段なら…つり銭ぐらいでは足りない程目移りしてしまう菓子コーナーでさぇ、裏のカロリー表を見て速やかに戻す事の繰り返しだ。

普通なら…万引き犯としてマークされても仕方ない。
でも、この店員は自らの爪の掃除に夢中になっていた。
目さえ合わそうとしない。

何故この店の店長は、雇ったのだろう。

七不思議だ。
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