三度目の指づめ
あたしは手短のヨーグルトを手にする。
何も欲しいと思ったのではない。
妥協だ。
一刻も早く店を後にしたかった。これ以上店内をかぎ回れば、流石に怪しまれる。
そんな危機感に後押しされる。
しかも、痺を切らした准が新人に当たり散らす姿を思い浮かべ状況は悪化した。
早足でレジに向かう。
ふと、横目の限られた視界に影が映った。
一瞬ヒヤリと、寒気が往復する。居るはずのない、人影…
ヤケに長身だった。
振り返る様に体を捻った。
「霧乃MASTER!!!」
思わず叫んでしまった。
はっとした様に我に返れば時既に遅く…思い切り睨まれた。
切り裂く様に…痛い視線。
思わず呼んでしまったが、話す会話も言い訳も用事さぇ浮かばない。真っ白になった空白の脳味噌でショウトした。
炎上する白い煙り。
冷たい店内。
苦笑いな顔面…
まさに地獄図だ。