三度目の指づめ
「すみません。」
絞り出す様に…漏らした単語…
やはり…軽々しかった。
「ぃや。別に…それょり、顎…痛くなぃのか?」
遮断する様に…話を変える霧乃MASTER…
何処までも優しかった。
“本当に気遣ってくれてる”
身に染みた。
ふと、顎に指先の感触が遅れて脳味噌に伝達された。
我に返れば…霧乃MASTERが中指と親指で傷口に触れていた。
脈打つ患部…
realに硬直した。
まるで…その動作は、恋人同士が見せる求愛の様だった。心配そぅに…クイッとあたしの顎を上に向ける。
慣れた手付き…
瞬時に、目が合う。
透き通った目をしていた。
球体に歪曲して移る、半開きの締まりのなぃ間抜けなあたしの顔…
顎の痛みなどとっくに消えていた。