三度目の指づめ


今にも、キスでも落としてしまぃそうな状態だ。
いゃ、この状況は…キスをする時にしかしない。
そう思う。


「腫れ上がってるな。これは、残りそうだ。」


そんなあたしの爆発しそぅな動揺など知ってか知らずか…余裕の表情で霧乃MASTERは分析を続ける。
親指で数回撫でる様に患部を探る。
ジッと瞬きもしない黒々とした漆黒の眼球にあたしはどんな風に映っているのだろうか。


“准が見たら、どぅするかな?”

あたしは冷静に考えた。
これは、スキンシップと言う枠組みでくくってしまっているのだろうか。
他人からみれば、明らかに…お熱なカップルに見えるだろう。
しかし…真剣な眼差しの霧乃MASTERは…躊躇一つ見せない。言うなれば、母親が負傷した我が子の傷口を労る様だ。
それ以外の感情は一切伺えない。
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