三度目の指づめ
恋愛待合室
あたしは病院が嫌いだ。
あのアルコール臭い空気ゃ幼児の悲痛な泣き叫ぶ声や白衣の医者ゃ無神経な中年看護婦…など、病院に行く方が悪化してしまぃそうな錯覚に陥る程だ。
だから、あたしはよっぽどの重症や生命に危機迫る状況に至るまで意地でも病院には行きたくない。
それは、まだ子供の頃に体験した…トラウマが引き金なのかも知れない。
元々容姿に似合わず…病弱気味のあたしは小さい頃から何かしら通院していた記憶しかない。母親だった人に手を引かれ…入退院の毎日…小児科では顔パスだった。
夜中広すぎる廊下を覗いては…脱獄を計画した。
しかし…点滴で繋がられたら腕で行ける所など限られている。トイレでさぇ、一人で行けないのだ。
静まり返る死んだ廊下…
何処までも果てしなく続く様に思える白い壁…
白衣の大人達は、冷血で非道に映った。