三度目の指づめ
緊張感と、絶望感に支配される。
侵食して行く、恐怖。
只の…風邪であって欲しかった。何事も無かった様に…少しきつめの薬を渡され…家に帰る。一分たりとも、このアルコール地獄から脱出したかった。
『26番のかた、3番診療室まで来てください。』
感情の篭らないアナウンス…
丁度…あたしの前の初老の女性がいそいそと立ち上がった。
言われた通り3番診療室に消える。
これで、あたしがここに来た時にいた患者はいなくなった。
次は、あたしだ。
静かに思う。
心拍数が振り切れそうだ。手の平の汗を握り締める。生暖かい感触が皺を伝ってrealに感じた。