三度目の指づめ
きっかけは、些細な段差


何時からだろう。
汚い生活を今まで送って来たあたしにしっぺ返しが来たのは…
散々、不良娘のなれの果てがこの様だ。
全く笑える。

空笑いだ。


真剣な面持ちのまるで、葬式の参列者みたぃに死んだ顔で、医師は言葉を続ける。


「HIVとエイズって違うのよ。あなたは、HIV感染者かも知れないの。まだちゃんと検査して診ないと今の段階では分からないけど…。」



あたしの為を思いわざと言葉を選ぶ医者…
そのはしはじに見え隠れする、『見えない確信』が二度と戻れない悲劇となってあたしを手招きした。
顔中の筋肉が脱力する…

垂れたブルドック並に…重力の法則を無視した引力があたしの頬全体に襲った。
モノクロ景色…
雑音スピーカ…
無感触指先…

五感全ての機能停止…


その時、あたしの頭に浮かんだ文字…
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