三度目の指づめ

荒い息遣い鼓膜を引き裂く。
ネチネチした液体音がそこら中に溢れてる。
ここにも…そこにも…溢れてる。

あたしは無言でこの悪夢からの救済を待った。ただひたすらひた向きに…
抵抗など出来なかった。

『絶対的服従』

その言葉が…頭を満たしていく。
バケツ一杯になった言葉は…行き場を無くして地面一杯に広がった。何も止めるものなど存在したない。



『もっと…舌使えよ!!!』




不意に…頭上から降り注ぐ霹靂の様な声。
冷たく感情すら感じない氷…

無造作にあたしの後頭部を掴み押し付ける。

むせかえる様なおえつ感と苦味が口全体に充満した。
自然に眉が寄る。


“いっそうの事…噛み千切ってゃりたい”


憎悪すべき、憎き相手に服従しながら…それだけ考えていた。
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