三度目の指づめ
むせ返るおえつ感を必死に我慢した。
ただ、この悪夢から逃れ無かった。
早く…一秒も早く終ってしまぃたかった。
だから…あたしがぁの家を出たあの昼下がりを境に、あたしはずっと封印していた。
二度と思い出されることなどなぃ、そぅ確信していた。
でも…今こうして目の前に広がる紛れもない悪夢は…過去と何も変わらない現実を刻んでいた。
空気すら、ビシビシ鞭打つ程に痛い。
ミミズ腫れが出来てしまぃそうだ。
動くはずない兄の背中が…まるであたしの凝視を感知したかの様にゆっくりこちらに回転して来た。
カウンター越しにピタリと、目があう。
焦点は合っている。
“もぅ、逃げられない”
本能的にそぅ思った。