三度目の指づめ


『あれれ?!何で、お前がぃんの?』



汚らしく口元を歪めて、ネチネチ唾を泡立たせる。


あたしは視線を反らすことさえできなかった。
そぅしてしまえば、もぅ二度と…帰れない、そんな気さえ起こったから。

体の力が抜ける。

釣糸で引っ張られたみたぃに、あたしは感覚のなぃ体をカウンターに寄りかけていた。
二本の足でなど、立てない。



兄の目も、あたしを舐め回す様な視線も、昔のままだった。
封印していた悪夢が…音を立てて顔を出した。



『折角…5年前からの再会なのに、無視かよ。』



吐き捨てる様に…煙草をカウンターに擦り付けた。

ジュゥ…漕げる臭いが漂う。


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