三度目の指づめ
『かっ、帰って…』
過呼吸寸前の声になる。
頭の片隅には、兄が素直に帰らない何て知ってるクセに…
決まり文句みたく、あたしは繰り返す。
それが、逆効果になると知ってるクセに…
短気な兄の怒りをかうと…
でも、見せ付けてゃりたかった。
5年前の一切抵抗さぇ見せれなかった玩具だった、あたしから卒業したんだと…
もぅ、兄の好き勝手には、されなぃんだと…
5年間で…成長したんだと…
あたしは睨み返した。
“絶対に負けない”
精一杯の抵抗だった。