三度目の指づめ
「ねぇ…?!覚えてる?!!」
鈴ゎ少し過去を見つめたまま…若すぎた春期真っ只中なあたし達を脳裏に浮かべていた。
不意に、問う。
しかし、あたしゎ寡黙を返す。
決して忘れた訳などない。
いゃ、忘れられる訳などないのだ。
ただ、今懐かし過ぎる過去に目を向ければ…美沙子は過去の人物になってしまう。もう二度と会えることなどない、思い出の親友になってしまう。
あたしゎそれが怖かった。
美沙子ゎ今でも生きていて…
あたし達の知ってる世話妬きな頼れる継母的存在であると信じて居たかった。
遺影など、認めたく無かった。
あたしゎ堅く真一文字に閉ざした口を開くことなく、動くことなく、見ることなく、ただ、背筋を流れる鈴の問掛けに耳を澄ませていた。
「ねぇ!!!聞いてる?!!…もしかして、忘れたの??」