イチゴさんの恋
夕焼けに染まる教室の時計。
私は座ったまま動くことが出来ないでいた。

ぼんやりと、綺麗に掃除された黒板を見つめて。

考えた。


-ーなら、この空虚な気持ちは何だろう。


2ヶ月付き合った彼に、別れを告げられた。
私のキツい性格がいやなんだって。
人格否定?
自分から告白しておいて勝手なやつ。

「あっそ」

それだけ言った。
涙も出ない。


なのに、後から後から心は空っぽになる。


『愛』や『恋』じゃなかった。
それでも私がこうして傷ついたのは、一時でも自分を好きと言ってくれた人に嫌われたからなのだろう。

カレカノってこーゆーことか。
苦いものを口にした気持ちになって、動くことを拒否する体で鞄に教科書を詰めていく。


幻想的な夕焼けも段々と闇に呑み込まれて。
些細な出来事だけど、私は『愛』や『恋』とは無縁でいたいと思った。



多分、これが始まり。
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