まい ひーろー 【短】
ふぁーすとらぶ
放課後、誰もいない図書準備室はあたしだけの空間。
{じゃあ、相崎(あいざき)さん、今日もがんばってね?}
そんな言葉と共に、差し出される鈍い銀色の鍵。
図書委員の先生は『勉強するのに使わせてほしい。』というあたしのおねがいをあっさり受けいれている。
本当は…そんなに勉強してないんだけど…ね?
相崎美都(みと) 16歳。
自分で言うのもおかしいけど、成績優秀の誰から見ても優等生…だと思う。
そんなあたしが嘘をついてまでこの教室を借りるのはここからよく見えるから…
…矢竹先輩…。
あたしの好きなひと。
あたしのたった一人のヒーロー。
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