まい ひーろー 【短】
『で、何であんなに見てたの?』
先輩は窓枠に肘をつき頭を支える体制でにやりと笑う。
これは確信犯なんだろうか。
そうだとしたら、先輩はどうやら意地悪なようだ。
『…サ、サッカー…かっこいいなと思って…。』
苦し紛れの答え。
でも、嘘はついてない。
あたしはサッカーしてる姿をかっこいいと思う。
勿論、先輩限定だけど。
『ふーん?そうなんだ。』
自分が言わせたくせに、先輩はしれっと
『じゃあ、休憩おわるから。』
と、それだけ言って窓から離れる。
あ…!!
『せ、先輩っ!』
…どうしても、聞きたいことがある。
気付いたときには、あたしは既に先輩を呼び止めてしまっていた。
『ん?』
ゆっくり足を止め、振り返ってくれた先輩に、あたしは精一杯勇気を込めて話しかける。
あたしの聞きたいこと、それは…
『…先輩、あたしのこと覚えていますか…?』