まい ひーろー 【短】




『そ?じゃあ、行くね。』

『…はい。がんばってください。』


静かに、声が震えないようにそっと返事をする。


再び歩き出す先輩。





『…あ、君、名前は?』


再び先輩の声がして顔をあげると少し離れた先輩があたしを見ていた。




『……相崎、美都です。』



『俺、矢竹隼人っ!…相崎さん、応援よろしくね。』



よろしくね。



…その一言と爽やかな笑みに、あたしはどれだけ救われただろう。



先輩があたしを忘れてても、平気。


これから覚えてくれるなら、だいじょうぶ。



先輩に『あたし』を知ってもらいたいと、強く思った。





『っ、はいっ!!』




あたしは先輩に負けないくらい元気よく笑った。






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