まい ひーろー 【短】
ガンッ!!!!!
盛大な音と差し込む光。
その眩しさに目を細めつつその方向を見ると
『…せんぱ…!』
愛しいあたしのヒーローが立っていた。
『美都…っ!!!…くそっ!何してんだ、どけ!!』
先輩はあたしと男にかけよるとまるで男をサッカーボールの様に、おもいっきり蹴った。
ズザザザッ!!
派手な音と共にふっとんだ男。どうやら失神しているらしい。
『……美都、美都…っ。』
荒い息を吐く先輩は、すぐにあたしを引き起こし、ギュッと抱き締めてくれた。
先輩の体温が精神的な面から冷えきっていたあたしの体にしみわたる。
……先輩の匂い。
『っひ、ふっ、せ、せんぱぁい…!ふぇ〜…。』
あぁ、もう大丈夫なんだ。そう思うともう涙は止まらなくて…。
『せんぱ、せんぱいぃ〜…』
先輩の名前を呼びながら、その大きな胸に顔を埋めた。
{ごめん、ごめんな美都。もっと早く来てやればよかった…。}
先輩は苦しそうな声で、何度もそう繰り返した。
『…せんぱい…。』
あたしは顔をあげ、今にも涙がこぼれそうな瞳で先輩を見つめた。
『…ん?』
先輩もあたしを見つめかえしてくれて、あたしの前髪をかきあげてくれる。