まい ひーろー 【短】
『…先輩、…あたしにキス………してください。』
そう告げると先輩は目を見張った。
『何いって…?』
涙がこぼれちゃったけど、仕方ない。
あたしは精一杯笑みをつくり
『…はじめては、…っ、先輩がよかった…。』
…ほんとだよ。
ほんとに先輩がよかった。
だから、嫌な思い出は先輩に消してほしい…。
『せんぱい…?』
泣いてるの?
先輩は一粒だけ雫をあたしの頬に落としたあと
ぐっとあたしを引寄せ唇をうばった。
重なる温もり、押し付けられる柔らかさ。
……しあわせ。
さっきの不快な感触がどんどん消えていく。
あたしはそっと目を閉じるとゆっくり…先輩の首に腕をまわした。