まい ひーろー 【短】

『言ってくれたらよかったのに…。』


『言えるかよ。』


男にはプライドがあんだよ。

なんて笑う先輩。

でも、フッと真面目な顔をすると


『お前が聖陵来るとは思わなかった。…すぐ話しに行きたかったけど、悔しかったから、仕返ししたんだよ。』



『…それで、忘れたふりしてたの…？』



あぁ。



ちょっと意地悪な声だけど、あたしの頭を撫でる手はものすごく優しい。



『あたし、先輩をおってきたんだよ…？』


『だろうな。』



それと、もうひとつ、気になっていたこと。



『…なんで、あたしがここにいるってわかったの？』


『……たまたまだよ。アイツとお前が渡り廊下歩いてんのが見えて、もしかしたら…って。』




そう言ってあたしを見下ろす彼の顔はすごく悲しげで…。




『…先輩、大好き。

助けてくれてありがとう。』



にっこり笑うけど、先輩の顔はまだ何か言いたげで…。