まい ひーろー 【短】




今日も窓を開けてサッカー部の練習風景を眺める。


……かっこいいな。



カンカンに照りつける日差しの下。

一生懸命ボールを追いかけて、真剣に走り回るその姿にいつも目を奪われる。

前を見据える先輩の目が好き。
真っ直ぐに夢を追うその瞳はなによりもキラキラで、眩しい。

こうやって、先輩を見てるときが一番幸せ。

先輩の光は、いつだってあたしを照らしてくれてるんだ。





気づけばかなり時間が経っていてサッカー部は休憩にはいっていた。

あは、先輩、すごい勢い。

ゴクゴクと勢いよく水を飲む先輩にクスッと笑いがもれる。



その刹那、ばっちり、先輩と目があってしまった。







あ!やばっ!!

反射的に慌てて俯く。


ああ、もう…!
どうしよう、あたし今絶対真っ赤だ…!!


…ばれた、かな?
…こっそり見てるなんて気持ち悪いって思うかも…。

ううん、ばれてない…よね?

たまたま目があっただけだもん!うん!



グルグルと回る思考のなか、
ひとり、やや強引にそう納得し、勢いよく顔をあげた。


ら、



『…なにしてんの?』


久しぶりに間近で先輩の声を聞いた。






< 9 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop