大人になれないファーストラバー
ドアを騒がしくノックする音は、どこか遠くで聞こえているような気がして。
全然気にならなくなっていた。
そしていよいよ自分を制御出来なくなってきて。
「俺と一緒だって大人になれるよ」
言って、蕾の首筋に唇を押し付けた。
何が起こったのか分からなかったのか、蕾は何も反応しない。
でもすぐに体を硬くして、押さえ込まれた手を振りほどこうと抵抗し出した。
「やだっ」
叫ぶ蕾の口を唇を重ねて塞いだ。出来るだけその声を聞きたくなかったから。
こんなことに意味があるのか半信半疑で。
苦しさと虚しさで心がバラバラになりそうだった。
大人のなり方なんて本当は全然分からない。
誰かに教えてほしいのに、うまくいかない。
「…蕾」
大きく呼吸するけれど、声が満足に出ないほど胸が苦しくて。
蕾にすがりつくように首筋から胸元にかけて唇を押し付けた。
「サクっ」
と蕾が叫ぶと、遠くで聞こえていたドアを叩く音が瞬間間近で聞こえて。
刹那、外から派手にぶち破られた。