大人になれないファーストラバー


結局今日も学校に行かなかったなあなんて、パックのジュースのストローをくわえながらそう思っていた。




今いるのは、坂を降りてすぐ近くにある公園。

ベンチの上に屋根があるここは、雨が降っていても割りと居心地がいい。




雨音が去り際に傘を一本くれたが、雨は小降りで、なんとなく差さずにここまで来た。





…と言うか。
何時間ぐらいこうしているのだろうか。
くわえたストローは噛み癖によっていよいよボロボロになってきている。




朝、蕾の部屋に侵入して、雨音に会って、それからずっとここにいる。




何しろ、着替え途中のまま部屋を飛び出したものだから、ワイシャツのボタン全開だし、下はまだスウェットをはいていた。


辛うじてスウェットが黒だから、遠目であれば制服に見えなくもないと言う…





ま、格好はなんであれ、気持ちの方はずいぶん落ち着きを取り戻していた。



不思議なことに、雨音に促されて泣いたら、途端に心が軽くなったのだ。



タケちゃんに頼まれて雨音には色々聞かなくちゃいけないことがあった気がするが、今はどうだってよくて。

また会えたらいいなあなんて漠然と考えていた。


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