大人になれないファーストラバー


公園の真ん中にある時計を見上げると、もうすぐ4時半。


どれだけ瞑想していたんだか、そんなに時間が経っていたとは気付かなかった。




4時を過ぎればもう部活が始まってる時間だ。
そういえばもう4日間も部活に顔を出してない。今日を入れると5日になるが。




今から中途半端に参加したら、逆にひどく怒られそうだ。
サッカー部、なんであんなヤンキーなんかを顧問につけたんだか。





ベンチに持たれて深くため息をついた。
頭上の屋根を仰ぎ見て、しばらくして目を閉じた。



朝からいっこうに止む気配のない強くもない雨。そのサーという音だけが聞こえてくる。


それはなかなか耳に心地よくて。
ここのところほとんど眠れない夜が続いていて、常に活動していた脳がようやく休まるような気がした。



そんな時、



パシャ



と、誰かが近づいてくる音が雨の音に混じった。




あと少ししたら眠りの溝に落ちていた意識が、ふっと戻ってくる。


同時に、鈍っていた感覚も研ぎ澄まされた状態になって、間違いなくこちらに向かってくる気配に気を集中させた。





「サク」




雨の音のノイズに邪魔されて、その声はぶれながらに鼓膜に届いた。


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