大人になれないファーストラバー
「お前、まともに話しする気ないんなら帰れ。」
シッシッ、と、小さい虫でも払うような手振りをすると。
「ごめーん」と、謝る葉山。
「あのね、実は最近気付いたんだ」
そして、ここでようやく本題に入った。
「俺は、橋本くんと一緒にいる蕾ちゃんが好きなんだ」
真剣な顔でそう言った葉山。ふざけてはなさそうだが、思わず…沈黙。
辛うじてやっと出てきてのは「は?」だった。
「橋本くんと蕾ちゃんの関係に憧れてたんだ」
「何それ」
「ケンカしてもそばにいるし、離れられない何かがあるって言いのかなあ~」
「ごめん、全然分かんね」と言うと、葉山は口を一文字に結んで唸った。
「なんて言うか大袈裟に言うと、"お互いがいないと生きていけない"みたいな」
「なんだそれ。 依存し合ってるってこと?」
「まあそうゆーことだよね」
つまり何が言いたいのか、探るように葉山の目の奥の光を見つめてみたが。
男どうし向かい合っているこの様子は、他から見れば怪しい図な気がして、即座に顔を逸らした。